就業規則の有効・無効を決めるのはどんな法律?基準は何?

どうも、自称【退職コーディネーター】で元労務担当のhiroshiです。
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みなさん、就業規則には有効なものとそうでないものが存在するのは知っているでしょうか?
全部が無効と判断されるケースは少ないですが、実は部分的に無効という場合は結構な頻度であります。

という事で、今回は就業規則に関する法律知識や、その具体例を紹介していきたいと思います。

就業規則が有効になる条件

簡単に言うと、法令が順守されていることです。
適法に作られていれば、すべてが有効の就業規則になります。

厚生労働省によると、就業規則にはこのような前提↓があります。

就業規則に記載する内容には、必ず記載しなければならない事項絶対的必
要記載事項)と、当該事業場で定めをする場合に記載しなければならない事項
相対的必要記載事項があります(労働基準法第89条)。

引用:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-4.pdf)

法律により就業規則で定めなければいけない事項(項目)は、決まっていて、これが揃って初めて就業規則が成り立ちます。
つまり、就業規則が有効になる条件は、法律で定められた形(フォーマット)にハマっていて、かつ、内容も適法であることです。

ここからは、就業規則の内容です。

 

絶対的必要記載事項

どんな企業でも共通して必要な事項です。

① 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに交替制の場合には就業時転換に関する事項

② 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

③ 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

この3項目は労働条件の規則なので、労働基準法に従って作る必要があります。
内容が法律に違反していれば、それは有効にはならず、法律が優先されます。

相対的必要記載事項

こちらは、分かりやすく言うと、企業側が独自にそういうことをするなら、あらかじめルールを決めておきましょうというのが、この相対的必要記載事項です。
もっと言うと、企業の福利厚生の部分決まり事と言ってもいいでしょうか。

① 退職手当に関する事項
② 臨時の賃金(賞与)、最低賃金額に関する事項
③ 食費、作業用品などの負担に関する事項
安全衛生に関する事項
職業訓練に関する事項
災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
⑦ 表彰、制裁に関する事項
⑧ その他全労働者に適用される事項

絶対的必要記載事項と違う部分は、内容に関しては使用者(企業側)がある程度自由に設定できます。
退職手当は「なし」でもいいし、賞与も「なし」でもいいという事になります。
つまり、支給するなら、支給条件や算定方法などを詳しく規定しておかなければいけません、という意味です。

ただし、労働者側が明らかに不利になるような内容は記載しても有効にはなりません。
例えば、最低賃金額に関する事項では、毎年10月に更新される最低時給を下回らないように設定しなければいけません。

就業規則が無効になる場合

有効になる場合とは逆で、違法な場合は無効です。
それが、全体が無効なのか、部分的に無効なのかという事については、それぞれの事案で違います。

例えば、

絶対的必要記載事項で欠けている部分があれば、就業規則としての形を成さないので、全体が無効になる可能性を含んでいます。

絶対的必要記載事項の3項目がすべてあったとして、その内容の一部で法令違反があれば、その部分に関しては無効で、法律が優先されます。

つまり企業側は、法律で定められている事項を遵守しなければならず、就業規則を使用者の都合のいいようには改変できないという事です。
例え改変したとしても、適法でなければ無効になるというだけです。

就業規則に関する法律・基準

就業規則とは

労働者の賃金や労働時間などの労働条件に関すること、職場内の規律などについ
て定めた職場における規則集です。
職場でのルールを定め、労使双方がそれを守ることで労働者が安心して働くこと
ができ、労使間の無用のトラブルを防ぐ目的も、就業規則にはあります。

例えば、就業時間や休憩時間の決まりや、給与・賞与の規定が無いと労使間で揉め事になるのは目に見えていますね。
また、社内の機密情報の持ち出し禁止とか、業務を遂行する上で必要不可欠かつ最低限のルールも定めておかないと、その会社の利益が守れません。

 

就業規則に関する法律

大きく分けて、4種類の法律があります。
上記でも説明した記載事項に関する法律(労働基準法第89条)、効力に関する法律(労働基準法第92条・93条・労働契約法第12条)、作成・変更・届出に関する法律(労働基準法第89条・90条)、周知に関する法律(労働基準法第106条)です。

効力

就業規則は、法令や労働協約に反してはいけないというのが、労基法第92条に定められています。

そして、就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効となるというのが労基法第93条、労働契約法第12条にあります。
無効の場合は就業規則の基準が適用されます。

つまり、法令違反の状態の労働契約は、事実上は無効になるという事です。

作成・変更・届出

労働基準法第89条、90条では、常時10人以上の労働者(パートアルバイト含む)を使用している事業場では、就業規則を作成し、過半数の組合、または労働者の過半数の代表者からの意見書を添付し、所轄労働基準監督署に届け出る必要があります。
変更した場合においても同様です。

つまり労働基準監督署は、就労規則の制定が必要な企業の就業規則はすべてチェック・把握しているという事になります。

周知

各作業所の見やすい場所への掲示、備え付け、書面の交付などによって労働者に周知しなければならないというのが、労基法第106条により定められています。

周知方法
① 常時各作業場の見やすい場所に掲示する、または備え付ける。
② 書面で労働者に交付する。
③ 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置する。

因みに、この周知方法については厚生労働省令で定める方法なので、特に罰則はありません。
その為、ブラック企業などでは、意外と周知が徹底されておらず、各事業所等で就業規則を確認できる環境になかったりします。

就業規則の具体例

厚生労働省のHPにて「モデル就業規則」が配布されています。

企業側はこれに沿って就業規則を作成していけば、有効となる就業規則が出来上がるはずです。
後は、届出・周知などを適法に行い、運用していくだけです。
ただ、このモデルを見ればわかるように、かなり記載する量は多いですし、詳細に決めなければいけないことがわかります。

実際に、就業規則を一から作ろうとするとかなりの労力ですが、このモデルがあればそれを真似するだけでいいので、作業負担は減りますが、かなり大変ですね。

【まとめ】就業規則の有効・無効が決めるのはどんな法律?基準は何?

就業規則の有効無効を決める法律は、労働基準法や労働契約法などで判断されます。
その基準は、適法かどうかで合って、違法状態ならば無効という事です。
部分的に無効という状態ならば、違法な部分だけ無効になります。

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