どうも、自称【退職コーディネーター】で元労務担当のhiroshiです。
このブログでは、退職に特化した情報をお届けしております。
未払い給与や残業代がある場合はどうやって請求したらよいのか、果たして回収できるのか法律を知らないと、よくわからないですよね。
これをよくわからないまま放置しておくと、自分が働いた分の残業代などは永遠に回収できませんよね。
今回は、その未払い給与が回収不能にならない為の情報をまとめました。
未払い給与・残業代
勤めている会社から知らず知らずのうちに、サービス残業をさせられてはいませんか?
入社した時に、「裁量労働制だから残業代は固定残業代しか出ないよ」とか言われていませんか?
たぶんそれらは、未払い給与・残業代の可能性が非常に高いです。
ほとんどの場合は、基本給などは支払われていて、残業代が正しく支払われれていないケースが多いようです。
ということで、未払い給与というよりは、未払い残業代を解説していきます。
残業代の定義
正式には、時間外労働に対して支払われる賃金のことです。
時間外労働とは、1日8時間週40時間を超えて働いた時間のことを指します。
そもそも、時間外労働は労働基準法では禁止されていて、36協定(サブロク協定)という労使協定を結ばない時間外労働はすべて違法残業となります。
加えて賃金は、1日8時間を超える時間外労働に関しては25%の割増賃金となります。
さらに、2023年4月からは中小企業(日本の約99.7%の企業)の月60時間を超える時間外労働にはさらに25%の割増で、50%の割増賃金になります。
さらにさらに、時間外労働が深夜に当たる場合には、さらに25%の割増賃金になり、残業代は最大で75%の割増賃金になります。
詳細はこちら↓
また、裁量労働制の場合でも、1日8時間を超えて時間外労働をさせるには、同じく36協定が必要で、残業代も支払わなければいけません。
勘違いしないでほしいのは、裁量労働制はコアタイムと呼ばれる時間帯以外は、働く時間帯が決まっていないというだけで、労働者が時間の際限なく働ける制度ではありません。
この制度を悪用して、残業代を支払わないブラック企業は多いです。
サービス残業
サービス残業には何種類かありますが、多い例で挙げると、上司などから強要されるサービス残業と、初めから裁量労働制を悪用した残業代の不払い(実施的サービス残業)があります。
それと、「名ばかり管理職」と呼ばれる、実質的には労働者だけど管理職としての役職がついている場合です。
サービス残業を証明する方法については、こちらです↓。
①強要されるサービス残業
例えば、「あなたがミスしたんだから、タイムカードを切ってからやってね」みたいなことを言われて、仕方なく退勤を押してから仕事をせざる負えないケースです。
これは、かなり多くの職場で見られるサービス残業なのではないでしょうか。
労働者が「ミスをしてしまって申し訳ない」という気持ちに付け込んだ、卑劣なやり方です。
この場合は、ミスしたことと時間外労働することは別の問題です。
時間外労働をさせるときは、必ず残業代を支払わなければいけません。
ただ、この場合は証拠を残すことが難しい場合もあるので、それは下記で説明します。
②裁量労働制を悪用した残業代の不払い(実施的サービス残業)
これもかなり悪質で、上記でも少し紹介しましたが、裁量労働制でも働いた時間の記録は必要ですし、残業したらその分の残業代は支払う義務が会社にはあります。
私が実際に未払い残業代を請求した例を紹介します。
不動産業界で営業をやっていた時のことですが、2年分(当時の時効)の残業代全額を請求しました。
入社時に、「裁量労働制ということが言われ、営業手当には固定残業手当(60時間分)が含まれています。」と言われていました。
そして、そこで残業代が支払われているので、残業代は支給さえれないとのことでした。
私もその当時は知識もなかったので、受け入れてしまいました。
ただ、働き始めてから3年位したときに、1人の社員が退職した時に、残業代を請求したという噂を聞きました。
調べてみると、上記のようなことが分かり、さらに就業規則も調べたら、固定残業手当のことについての明確な記述がされていませんでした。
固定残業代というのは、「通常の労働時間の賃金に当たる部分(基本給)」と「割増賃金に当たる部分(残業代)」を判別できる必要があります。
しかし、給与明細には営業手当としかなく、就業規則、雇用契約書などを見ても、明確に固定残業代が明記されていなかったのです。
その為、今まで残業代と思っていたものは、そうではなく残業代のすべてが未払いであり、請求できるということが分かりました。
このように、特に不動産営業の場合は、裁量労働制を悪用した違法残業が横行している時代がありましたので、注意が必要です。
③名ばかり管理職
これは、労働基準法に「管理監督者に該当する管理職は、労働基準法に定められた労働時間・休憩・休日の規定が適用されない」とあるため、残業代が支給されません。
これを悪用して、実質的には労働者の従業員に対して、名ばかりの役職を与えて、残業代をすべてカットするという非常に悪質な違法行為です。
管理職というのは、役職がついているから管理職と判断されるわけではありません。
勤務内容、権限、勤務時間の裁量、賃金等の処遇の要件が当てはまっているかどうかで判断されます。
【職務内容】
管理監督者としての職務を行っているか【権限】
経営方針の決定、労務管理、採用上の指揮等が経営者と一体的な立場か【勤務時間に関する裁量】
自己の勤務時間について裁量を有するか【賃金等の処遇】
役職手当などの待遇がされているか
例えば、
「パートアルバイトの採用権限が無い」
「従業員に対して指示権限が無い」
「遅刻や早退した時に減給がある」
「長時間労働を余儀なくされるなど、実際には労働時間の裁量がほとんどない」
「時間あたりの賃金がパートらを下回る」
「役職手当などが不十分」
これらのようなことがあれば、「名ばかり管理職」である可能性が高く、残業代を請求すれば、回収できる可能性は高いです。
就業規則
これは従業員が守るべきルールですが、解雇や懲戒処分の事由、服務規律の内容などのほかにも、賃金や労働時間についての記載もしなければいけません。
また、この就業規則は労働基準法などの法律に則って作成しなければならず、労働者に不利になるようなルールは作れません。
会社には労働基準監督署への提出義務もあります。
つまり、未払い残業代をを請求する上で、必ず確認しなければいけないものの1つは、この就業規則です。
未払い給与・残業代の回収方法
回収する方法は、会社に請求するしかありません。
その際に必要になるのはその根拠です。
根拠を示すには、証拠とそれに基づいて残業代の金額を計算する必要があります。
逆に、労働者側に残業の証拠が無いと、請求しても失敗に終わる可能性が高いので、証拠が一番重要です。
ただし残念ながら、未払い給与には時効があり、3年で請求権が消滅します。
正確には、賃金請求権は支払日の翌日から時効が進行し、3年で消滅します。
つまり、3年より前の支給日の未払い給与に関しては請求できないことになりますので、未払い給与のすべてを回収しきれない場合もあります。
そうならない為にも、なるべく早く自分に未払い給与が無いか調べて、その時点で請求できる分を請求しましょう。
3年で請求権は時効消滅しますが、請求した分に関しては、その時点で時効は止まります。
未払い残業代の証拠
証拠を集めるのは簡単です。
給与明細はもちろんですが、タイムカードや勤怠記録簿などをコピーしておきましょう。
サービス残業の場合は会社の記録に残らないことも多いです。
そんなときは、会社のパソコンで出退勤メールを送っておいたり、正規のタイムカードとは別に、2重で打刻しておいたり、客観的な証拠を残しておきましょう。
それができないなら、手帳に出退勤の記録をメモしておくだけでもいいと思います。
因みに、会社から支給されている携帯電話にGPS監視機能がついていて、その記録が見れるなら、それを印刷しておけば、勤務していた場所と時間の証拠になります。
自分でできる未払い残業代の請求方法【例】
私の場合は退職と同時に、請求しました。
まず、退職前に証拠をすべて揃えました。
タイムカードのコピー、会社携帯のGPS記録、勤怠記録簿、就業規則の確認、請求する分の給与明細などです。
そして、退職日前の有休消化中には残業代の計算をして、未払い残業代の金額を出し、内容証明郵便の準備をしました。
退職後すぐに、準備していた内容証明郵便を会社に送りました。
実際に送った文章はこちらです。↓
残業代(内容証明)
1週間の期限を設けて請求しましたが、弁護士からは内容証明郵便が届きましたが、振り込みが無かったので、再度、督促の内容証明郵便を送りました。↓
督促状(内容証明)
「直接連絡しないでほしい」と伝えたはずなのに、社長のバカ息子が直電してきて、わざわざ会社に出向くことになりました。
この時の私は、生活費にも非常に困っている状態だったので、あまり強気な交渉が出来ず、半額以下の金額で手打ちにしてしまいました。
しかし、未払い残業代は全額を取り戻すべきなので、強気でやってください。
何なら、1度督促して期限が過ぎた時点で、労働基準監督署に通報するべきです。
裁判になれば、法律違反をしているのは会社側なので、証拠がそろっていれば、ほぼ勝てます。
なので、労基署に通報と同時に、裁判所からの督促状を出してもらうのも効果的かもしれません。
因みに、こんなことを自分だけでやるのはしんどいし、やり方がわからなかったりするので、退職代行サービスで残業代の請求もやってくれるところを探しましょう。
弁護士ならば全額取り戻せる可能性はかなり高いと思いますし、証拠集めもある程度手伝ってくれと思います。料金は高いですが・・・。
労働組合が行う退職代行は、残業代の請求もできて、弁護士よりは料金も安いので、一度相談してみるのもいいかも知れません。
【まとめ】未払い給与や残業代は証拠がないと請求不可!?就業規則の確認必須!
未払い残業代を請求するには証拠が無いと、失敗し回収できません。
就業規則の確認も絶対条件です。
法律で決められていない部分や、残業させるうえで記載しておかなければいけないことが書いてあるかどうかを確認してください。
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